ECHONET Lite規格の概要

ECHONET Liteは、センサ類、白物家電、設備系機器など省リソースの機器をIoT化し、エネルギーマネジメントやリモートメンテナンスなどのサービスを実現するための通信仕様です。通信仕様や各機器の制御コマンドを共通化することで、マルチベンダー環境でのシステム構築を実現します。ECHONET Liteの規格類の構成を以下に示します。

省リソースの機器のIoT化を実現するとともに、マルチベンダー間の相互接続を実現するECHONET Liteの主な特長を以下に示します。

① 各種既存の標準伝送メディアが利用可能

ECHONET Liteで規定している範囲は、OSI参照モデルにおける第5層以上で、下位の通信仕様には依存しません。通信アドレスは、IPアドレスや伝送メディアのMACアドレスなどを利用して送信先を指定します。したがって、サービスやアプリケーションなどの様々な要件に基づいて、市場からリーズナブルな伝送メディアを選択することが可能です。

② 家庭・中小ビル・店舗向けなど広範囲な機器に対応

1997年のエコーネットコンソーシアム設立以来、継続して機器の制御コマンドの定義を拡充しています。エコーネットコンソーシアムでは、様々な機器が持つ多様なプログラム群やデータ群をモデル化することで、機器オブジェクトとして制御コマンドを定義しています。

現在では、センサ類、エアコン、照明などの省エネ機器、蓄電池、HP給湯機などの蓄エネ機器、太陽光発電、燃料電池などの創エネ機器、各種スマートメータなどの計測機器、業務用パッケージエアコン、ショーケースなどの業務用機器の定義を進めており、既に110種類以上の機器の詳細な機器オブジェクト(制御コマンド)を定義しています。なお、機器オブジェクトは、用途別に7種類のグループ(クラスグループ)に分類されています。


クラスグループコード クラスグループ 機器例
0×00 センサ関連機器 火災センサ、人体検知センサ、温度センサ、CO2センサ、電流量センサ、etc.
0×01 空調関連機器 エアコン、扇風機、換気扇、空気清浄機、ホットカーペット、石油ファンヒータ、業務用パッケージエアコン、etc.
0×02 住宅・設備関連機器 電動ブラインド、電動カーテン、温水器、電気錠、スマートメータ、 太陽光発電、蓄電池、燃料電池、一般照明、単機能照明、非常灯、照明システム、拡張照明システム、etc.
0×03 調理・家事・冷設関連機器 電子レンジ、食器洗い機、食器乾燥機、洗濯機、衣類乾燥機、業務用ショーケース、etc.
0×04 健康管理関連機器 体重計、体脂肪計、体温計、血圧計、血糖値計、etc.
0×05 管理・操作関連機器 コントローラ、スイッチ(HA機器)、etc.
0×06 AV関連機器 TV、ディスプレイ、etc.

③ 重点機器のさらなる相互接続性の向上

ECHONET Lite規格は、規格適合性認証試験を行って高い相互接続性を実現することにより、110種類以上のすべての機器に適用できる汎用的な仕様となっています。エコーネットコンソーシアムでは、家庭用エアコン、蓄電池、太陽光発電、業務用パッケージエアコン、スマート電力量メータ(高圧・低圧)などの10種類以上の機器を重点機器と定めており、これらの機器でより高い相互接続性を実現するために、アプリケーションレベルでの具体的なECHONET Liteの使い方を定義したアプリケーション通信インターフェース仕様書(AIF仕様書)を定めています。例えば、AIF仕様書では以下のような項目を定義しています。


  • 搭載する機器オブジェクト
  • サポートしているプロパティの組合せ
  • 要求送信後、応答受信までのタイムアウト時間
  • 具体的なユースケースを想定したシーケンス

また、AIF仕様書の規格適合性認証試験をエコーネットコンソーシアムが認定した第三者の試験機関で実施することにより、より信頼性の高い試験を実施しています。

④ クラウド上のサービスとの連携が可能

通信仕様を検討するうえで、システム全体のアーキテクチャを検討することは重要です。そのため、ECHONET Liteの通信仕様を策定するにあたっては、インターネット上の各種サービスと一般家庭などのローカル環境に設置される機器との界面に、ゲートウェイ機能をもつコントローラなどの機器があるアーキテクチャとしました。システムの構成例を以下に示します。

このようなシステムを構築することができるため、サービスと機器それぞれにおいて、水平分離した形で仕様検討や開発を行うことができます。その結果、機器メーカーだけでなく、様々なサービス事業者によるサービス展開を期待することができます。

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