いまやクラウド上の仮想空間では多様なサービスが増加し、Cyber Physical System(CPS) による超スマート社会の実現を目指す時代となっています。エコーネットコンソーシアムは、インターネット環境や社会そのものが大きく変化してゆくなか、2022年2月にSDGs実現に貢献するための「ECHONET 2.0の戦略指針」を掲げ、ECHONET Lite規格とAIF仕様を拡張すると共に関連団体との連携を強めています。ECHONET Lite搭載機器やECHONET Lite Web APIを活用したサービスの普及拡大に向けて、関連規格や認証の拡充を通して相互運用性を高め、「秩序ある協創空間」を実現します。
ECHONET 2.0は、 2つの方向への拡大を目指します。1つ目は、住まいと暮らしで普及してきた ECHONET Lite規格を、家電や住宅設備以外の分野に拡張し充実させること。 2つ目は、進化するデジタル社会で宅内の様々な機器があらゆるサービスにつながるように、 ECHONET Lite Web APIを活用したクラウド上のサービス連携を拡大して新たな価値を創造・拡大することです。
新たな価値を生み出すためのサービス連携を実現するためには、家庭内のECHONET Lite実装機器だけでなく各種IoT機器も含めて、クラウド上のサービスと連携しなければなりません。エコーネットコンソーシアムは、「ECHONET Lite Web API」によってこの連携を実現し、さらにサイバー空間上での円滑なサービス連携を目指しています。そのためにも、サービスとの連携が展開されるサイバー空間は、「秩序ある協創空間」でなければなりません。
具体的には、まず、機器側とサービス側の両方の事業者が信頼できる事業者でなければならないため、それを証明するための仕組みを作ることも重要です。そして、クラウド上で相互接続可能なインターフェースを容易に確認できることも必要です。エコーネットコンソーシアムは、このようなサイバー空間における課題に取組み、秩序ある協創空間の創出に貢献します。
エコーネットコンソーシアムは、サイバー空間における秩序ある協創空間の構成要素についても検討しています。
下記の図はそれらを示すもので、右側が「Web APIサーバ」、左側が「Web APIクライアント」になります。Web APIサーバは、家電と住宅設備を中心とした機器や、今後対象範囲を広げていく業務用機器と健康関連機器および電気自動車など幅広い機器群を対象にして、機器が有する機能をサイバー空間でモデル化することにより、提供可能な機能を定義します。Web APIクライアントは、エネルギーマネジメントをはじめ、快適生活支援、ヘルスケア、セキュリティなど、サイバー空間を通じて住まいや暮らしそして社会に提供するサービスを定義します。
Web APIサーバとWeb APIクライアントの名称は、機器ベンダーとサービス事業者がそれぞれ従来の分野を超えた役割を担うことを期待する新たな呼称です。
秩序ある協創空間のなかで、Web APIサーバとWeb APIクライアントの双方がECHONET Lite Web APIという共通インターフェースを介して繋がることで、より強固な協調関係が築き上げられ、ひいてはSDGs実現への貢献にも繋がっていくものと考えられます。
これまでエコーネットコンソーシアムは、ECHONET Lite規格の策定を通じて、リソースとなる機器群の相互接続性を検証できる環境づくりを強化してきました。今後はこれに加えて、サイバー空間における、信頼できる事業者の証明や相互接続可能なクラウドインターフェイスの確認ができる環境づくりに取組み、秩序ある協創空間を実現することによって、サービス事業者と機器メーカとの協調関係を築き上げ、SDGs実現へも貢献していくことを目指しています。