活動概要

2022年度事業報告

 エコーネットコンソーシアムでは、理事会直下の「ECHONET 2.0実現に向けた課題検討WG」にてECHONET 2.0普及に向けた新ロードマップを策定するとともに、ECHONET 2.0戦略指針に沿って検討を進め、その骨子を2023年2月のフォーラム及び3月のシンポジウムで発表した。具体的には、ECHONET Lite対象機器の拡大とシステム全体の信頼性担保方法の検討、ECHONET 2.0のサービス事例増加に向けた施策の検討、ECHONET 2.0の普及に向けた施策・政策への展開について、「秩序ある協創空間」実現の推進、および推進のための実証環境構築に関する検討を進めた。

 また、2019年度より継続して実施しているECHONET 2.0実現に向けた活動を昨年度も重点的に推進した。その一例として、関連団体との標準化活動の連携策の検討においては、CHAdeMO協議会と「CHAdeMO-ECHONET 連携ガイドラインVer.1.00」を策定し一般公開(2022年5月16日)、日本電機工業会(JEMA) VPP分科会とJEMA VPPガイドライン改訂版(6月公開予定)の要件を踏まえたDemand Response対応ECHONET Lite Web API仕様の策定作業を進め、幹事会員レビューまで完了するなどの進捗があった。

 また、従来から進めている、国内外への普及促進活動、国際標準化活動、ECHONET Lite AIF認証制度の継続運用活動、ECHONET Lite規格の新規策定および改訂活動等も継続的に推進した。

 たとえば、ECHONET Lite規格関連については、日本国内における特定計量制度に対応した計量機能を持つ発電設備等の機能を「分散型電源電力量メータクラス」と定義し、「ECHONET機器オブジェクト詳細規定 Release Q」、および「ECHONET機器オブジェクト詳細規定 Release Q rev.1」を一般公開するとともに、「分散型電源電力量メータ-HEMSコントローラ間アプリケーション通信インタフェース仕様書 Ver.1.00」を一般公開する(2022年11月25日)など、更新検討を継続した。また、2025年度以降に導入予定の次世代スマートメータについても、高圧・低圧のオブジェクト定義およびアプリケーション通信インタフェース仕様検討を進めた。

 国内の普及促進活動では、JEMA、住宅生産団体連合会(住団連)、電子情報技術産業協会(JEITA)等との連携を引き続き強化すると共に、展示会関連ではCEATEC2022、ENEX2023(神奈川工科大学と共同)でリアル&オンラインの両方で出展し、コンソーシアムのPR活動を積極的に推進した。海外の普及促進活動では、昨年度に引き続きEnlit Europe(ドイツ)と、Enlit Asia(タイ)とEnergy Taiwan(台湾)とESSEXPO(韓国)にリアル出展し、海外に対する認知度向上活動を推進した。また台湾を視察し、エネルギーマネジメントやEV充電機器開発の動向等を調査すると共に、関連企業・団体とECHONET 2.0の普及に向けた意見交換を行った。

 国際標準化活動では、経済産業省の国際標準開発事業(国プロ)を受託したKAITと協力して、「蓄電池-HEMSコントローラ間AIF仕様」の規格化活動を推進した。

 ECHONET Lite AIF認証制度の継続運用活動では、今年度は新たにECHONET Lite認証52件、ECHONET Lite AIF認証88件(コントローラ43件、機器45件)を登録した。その結果、累計認証件数は、ECHONET Lite認証は937件、ECHONET Lite AIF認証は803件(コントローラ433件、機器370件)となった。

 これらの活動により、ECHONET Lite認証済み製品の出荷台数は累計1億3,879万台になった。

2023年度事業計画

 エコーネットコンソーシアムの今年度の活動としては、カーボンニュートラル、デジタル化社会の実現に向けて、需要家サイドに1億38百万台を超える規模まで普及が進んだECHONET Lite対応機器について、次世代スマートメータ関連の規格策定を進め、更なる拡張・拡大を目指していく。さらに、ECHONET Lite対応機器を活用したクラウドサービスの実現にむけて、ECHONET 2.0関連の活動を関連団体とも連携して幅広く進めていくことを大きな柱とする。

 まず、カーボンニュートラル実現に向けてのキーデバイスとなる次世代スマートメータにECHONET Liteが継続採用される中で、低圧スマート電力量メータクラスおよび新たに規定された双方向対応高圧スマート電力量メータクラスに対応したアプリケーション通信インタフェース仕様書および認証試験仕様書を策定する。その他、日本電機工業会(JEMA)、CHAdeMO協議会、住宅生産団体連合会(住団連)などの関連団体及び会員との連携を通じ、国内外普及活動、ECHONET Lite 規格およびAIF規格の新規策定と改訂作業などについて、市場からの要望を聞きながら改善に取り組み、今後のIoT対応のための技術検討も継続して実施していく。

 一方、昨年度策定したECHONET 2.0普及に向けた新ロードマップおよびECHONET 2.0戦略指針に沿って、秩序ある協創空間の実現に向けた検討を推進する。その際には、2022年度に電子情報技術産業協会(JEITA)と共同で設立した新サービス創造データ連携基盤検討会や、エコーネットコンソーシアムメンバーが参加しているJEMAの分科会など関係団体との連携により幅広い視点での議論を通じて検討を進める。たとえば、ECHONET Lite対応機器の拡大に向けたシステム全体の信頼性担保方法の検討として、実証環境について大学機関や電子情報技術産業協会(JEITA)とも連携して取り組むとともに、デジタル田園都市国家構想に向けたサービス事例の検討に加えて、エネルギー関連やスマートホームなど多様なWeb空間上のサービスについても、ユースケースを設定し詳細検討を行う。さらに、ECHONET 2.0の普及施策と政策への展開として、認証制度を拡充運用するための適合性認証制度などについて検討を進め、普及が進むECHONET Lite機器を活用した幅広い分野のデジタル化施策やデータの利活用に、クラウドでの連携策としての重要な構成要素としてECHONET Lite Web APIの活用による標準化を進めていく。

 また、普及活動としては、これらの活動内容をCEATECやENEXなどの各種展示会やイベントなどに展開するとともに、ホームページやダイレクトメールなどを活用し、広く認知いただくよう活動する。特に、幅広い課題解決へのデジタル化、カーボンニュートラル実現に向けて制度設計を進めている関係省庁・学識経験者にも積極的に提案・アピールし、エコーネットコンソーシアムの成果が、関連の制度設計に織り込まれることを通じて社会課題解決に貢献できることを目指す。その活動においては、ECHONET 2.0関連のサービス普及に向けて、サービス非会員を含むサービス事業者とエコーネットコンソーシアムメンバーや他団体メンバーとの意見交換の場としてECHONETワークショップなどを開催し、個々のサービス実現における共通的な課題の共有と、標準規格で対応すべき解決策を模索すべく検討を進める。

 これらの活動を通して、当コンソーシアムは、ECHONET Lite規格の普及とホームネットワークおよびIoT市場の拡大に向けた政府や国内外業界団体、および会員企業からの協力要請に応じると共に、活動を実行する永続的な運営基盤を構築するために、組織と運営体制を継続的に強化していく。

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