エコーネットコンソーシアムは、理事会直下の「ECHONET 2.0実現に向けた課題検討WG」でECHONET 2.0の戦略指針を検討し、2022年2月のフォーラム及び3月のシンポジウムで発表した。具体的な指針は、ECHONET Lite実装機器をベースとしたサービスの普及と拡大に向けた「秩序ある協創空間」実現の推進、およびその推進のための実証環境構築の検討である。合わせて、従来の機器拡大に加えてサービス連携の拡大を目指した新たなロードマップを策定した。
また、2019年度より継続しているECHONET 2.0実現に向けた活動を重点的に推進した。サービス事業者との連携強化策として、W3C WoTやスマート社会技術融合研究機構超分散5Gridsデジタル社会研究会との活動を推進すると共に、日本電機工業会(JEMA)と慶応義塾大学との3者共催によるVPP事業者を交えたホームアプライアンス・オープンイノベーション・ワークショップを開催した。サービス事業者の会員加入促進策として、ECHONET Lite AIF仕様書と認証取得機器の搭載オブジェクト・プロパティ申告書を一般公開すると共に(2021年6月、2021年10月)、「ECHONET IoTマスター制度」を2021年11月より開始した。また、他の標準規格とのデータ連携強化に向け、北陸先端科学技術大学院大学との共同研究によるPCHA(Personal Connected Health Alliance)とのデータ連携協議を継続すると共に、CHAdeMO協議会との検討も開始した。ECHONET Lite Web APIについては、ガイドライン(API仕様部Version 1.1.3、機器仕様部Version 1.3.0)を一般公開すると共に、学習用アプリ「ELWebAPIStudy」を会員向けに、実験クラウドを学術会員向けに、それぞれ公開した。
一方、従来からの活動である、国内外への普及促進活動、国際標準化活動、ECHONET Lite AIF認証制度の継続運用活動、ECHONET Lite規格の新規策定および改訂活動等も継続的に推進した。
国内の普及促進活動では、JEMA、住宅生産団体連合会(住団連)、電子情報技術産業協会(JEITA)等との連携を引き続き強化すると共に、経済産業省の次世代スマートメータ制度検討会にも積極的に参加した。展示会関連ではCEATEC 2021にはオンラインで、ENEX2022には神奈川工科大学(KAIT)と共同でリアル&オンラインの両方で出展し、コンソーシアムの活動を積極的に宣伝した。海外の普及促進活動では、昨年度に引き続きEnlit Europe(欧州)とCES(米)への出展(リアル&オンライン)に加え、Enlit Asia(インドネシア)とEnergy Taiwan(台湾)にオンライン出展し、海外での認知度を向上させた。
国際標準化活動では、経済産業省の国際標準開発事業(国プロ)を受託したKAITと協力して、「蓄電池-HEMSコントローラ間AIF仕様」の投票用委員会原案(CDV)移行に向けた準備を進めた。
ECHONET Lite AIF認証制度の継続運用活動では、今年度は新たにECHONET Lite 46件とECHONET Lite AIF 74件(コントローラ48件、機器26件)を認証した。その結果、累計認証件数は、ECHONET Lite認証は885件、ECHONET Lite AIF認証は715件(コントローラ390件、機器325件)となった。
ECHONET Lite規格の新規策定および改訂活動では、「電気自動車充放電器/電気自動車充電器-HEMSコントローラ間AIF仕様書」をVersion 1.30に改訂した。また、APPENDIX ECHONET機器オブジェクト詳細規定のRelease P rev.1を一般公開した。
これらの活動により、ECHONET Lite認証済み製品の出荷台数は累計1億2,631万台になった。
2022年度のエコーネットコンソーシアムは、昨年度策定したECHONET 2.0戦略指針に沿って、秩序ある協創空間の実現に向けた検討を推進する。具体的には、ECHONET Lite対応機器の拡大に向けたシステム全体の信頼性担保方法の検討として、実証環境の構築に取り組む。また、ECHONET 2.0のサービス事例増加に向けた施策の検討に向け、サービス事業者やプラットフォーム事業者を交えた議論の場として、電子情報技術産業協会(JEITA)スマートホーム部会と共同で「サービス普及WG」を普及委員会に設置する。さらに、ECHONET 2.0の普及に向けた施策と政策への展開として、JEITAのイエナカ連携基盤の取り組みにECHONET Lite Web APIの活用を提言する等の活動を進める。
2019年度より実施しているECHONET 2.0の実現に向けた活動も継続的に推進する。具体的には、サービス事業者が容易にアプリ開発を行うためのECHONET Lite Web APIのAPI仕様部と機器仕様部を継続的に拡充すると共に、サービス事業者の会員加入促進策としてECHONET IoTマスター制度と共に昨年11月に開始したECHONET 2.0技術セミナーの本運用を開始する。また、他団体との連携強化として、JEITA、CHAdeMO協議会、W3C WoT、超分散5Gridsデジタル社会研究会に加えて家電製品協会との活動を推進する。さらに、北陸先端科学技術大学院大学との共同研究において、PCHA(Personal Connected Health Alliance)と連携して標準規格間でのデータ連携協議を推進する。
従来からの国内外普及活動や、ECHONET Lite 規格およびAIF規格の新規策定と改訂作業、および今後のIoT対応のための技術検討も継続する。
国内普及施策としては、HEMSの2030年全世帯普及に向け、日本電機工業会(JEMA)、住宅生産団体連合会(住団連)、JEITA等の関連団体やPCHAなどの標準化団体との連携を継続すると共に、ZEH事業支援活動や展示会(CEATECやENEX)での訴求活動を強化する。
海外普及施策としては、国際的な渡航規制緩和を鑑み、神奈川工科大学(KAIT)が受託した国プロの支援により海外展示会でリアル展示を行い、ECHONET Liteの海外認知度向上に向けた活動を推進する。特にアジア地域では、ECHONET Lite規格採用に向けたロビー活動や積極的な広報活動を進める。国際標準化活動では、IEC等国際標準化団体においてAIF仕様の国際標準化活動を推進し、ECHONET Liteの国際的地位向上に努める。
AIF 認証制度については、認証試験等に対する市場からの要望を聞きながら継続的に改善すると共に、試験対象拡張に対応した各種仕様書を整備していく。
この他にも、産官学によるECHONET LiteおよびHEMSの普及に向けた活動として、2050年のカーボンニュートラル政府目標達成に向けて経済産業省が主催する各種検討会に参加すると共に、関連工業団体や会員企業の意見を伺い、その意見を取り入れた規格策定と改定を行う。経済産業省国際標準開発事業に基づいて、KAITと協力してAIF仕様の国際標準化活動も推進する。
これらの活動を通して、エコーネットコンソーシアムは、ECHONET Lite規格の普及とホームネットワークおよびIoT市場の拡大に向けた政府や国内外業界団体および会員企業からの協力要請に応じると共に、活動を実行する永続的な運営基盤を構築するために組織と運営体制を継続的に強化していく。