エコーネットコンソーシアムでは前年度に引き続き、ECHONET Lite及びECHONET Lite Web APIを核とするECHONET 2.0実現に向けた取り組みを進めた。
理事会直下の「ECHONET 2.0実現に向けた課題検討WG」にて、最新の市場動向や政策動向を踏まえ、普及拡大のロードマップを改定し2025年度から2030年度までの普及に向けた具体的アプローチの策定を行った。カーボンニュートラル達成をはじめとした、さまざまな社会課題に対して、IoTとデータ利活用で解決を目指し、データ流通市場、ソリューション社会の創成を目指すと共に、海外との連携も積極的に進めることとした。具体的なユースケースとして、家庭向け低圧リソースのDR対応を設定し、資源エネルギー庁主催のDRready(Demand Response ready)勉強会に参加するとともに、勉強会に参加している、関連団体や研究機関と意見交換を行いDRreadyの制度設計について意見提言を行った。
またECHONET 2.0戦略指針に沿って、ECHONET Lite対象機器の拡大とシステム全体の信頼性担保方法の検討、ECHONET 2.0のサービス事例増加に向けたユースケース検討、ECHONET 2.0の普及施策と事業への展開のための制度設計に関する検討を進めた。
信頼性担保方法の検討としては、セキュリティに関しセキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR: Labeling Scheme based on Japan Cyber-Security Technical Assessment Requirements)の中でのECHONET Lite実装機器の機器認証について検討を行った。またユースケース検討においては、ECHONET 2.0のサービス事例増加に向けて、デジタル田園都市国家構想向けのサービス事例や、エネルギー関連、スマートホームなど多様なWeb空間上のサービスについて、ユースケース検討を行った。さらに、ECHONET 2.0の普及施策として、DRreadyを題材に、ECHONET Lite Web API の認証制度の検討に取組み、資源エネルギー庁への提言活動を行った。ECHONET Lite Web API認証構築WGを立ち上げ、認証制度の検討にも着手した。
さらに、従来から進めている国内外への普及促進活動、国際標準化活動、ECHONET Lite AIF認証制度の継続運用活動、ECHONET Lite規格の新規策定および改訂活動等も継続的に推進した。
例えば、市場に多数存在するECHONET Lite対応機器を活かすため、「Matter ECHONET Liteブリッジ」上に、仮想ECHONET Lite機器を搭載し、Matter側からECHONET Lite機器を制御、状態取得するシステムでの連携例について整理したホワイトペーパー「Matter ECHONET Liteブリッジ適用事例 第1版」を一般公開した。また電気自動車充電器クラス、周波数制御クラスに関連するアプリケーション通信インタフェース仕様書、および認証試験仕様書を策定した。
国内の普及促進活動では、日本電機工業会(JEMA: The Japan Electrical Manufacturers’ Association)、住宅生産団体連合会(住団連)、電子情報技術産業協会(JEITA: Japan Electronics and Information Technology industries Association)等との連携を引き続き強化すると共に、展示会関連ではCEATEC2024やENEX2025(神奈川工科大学と共同)に出展し、エコーネットコンソーシアムのPR活動を積極的に推進した。また内閣府のスマートシティリファレンスアーキテクチャ第3版の作成に参加した。アセットとしてのECHONET Lite Web APIの活用や、石川県能美市の公共基盤における高齢者見守りサービスへの活用などのコラムが内閣府ホームページに掲載された。海外の普及促進活動では、台湾を視察し、2024 ECHONET Liteスマートハウス国際標準セミナーでの講演を行うと共に、関連企業・団体とECHONET 2.0の普及に向けた意見交換を行った。また、IFA 2024、Energy Taiwan及びCES 2025を視察し、海外の技術動向を調査した。
国際標準化活動では、経済産業省イノベーション・環境局国際電気標準課の補助事業を受託した神奈川工科大学と協力して、ISO/IEC JTC 1/SC 25 WG 1でECHONET Lite AIF仕様の国際標準化を推進した。ECHONET Lite機器オブジェクト詳細規定の国際標準改定提案も推進し、Release Q rev.1ベースのIEC 62394 (機器オブジェクト詳細規定) ED5については2024年10月に発行された。
これらの活動を永続的なものとし、運営基盤を強化するために、会費の改定について第11回定時社員総会にて決議、承認を受け、2025年度から実施、認証登録費改定については、2024年10月1日付で、費用改定を実施した。
ECHONET Lite AIF認証制度の継続運用活動では、今年度は新たにECHONET Lite認証64件、ECHONET Lite AIF認証149件(コントローラ84件、機器65件)を登録した。その結果、累計認証件数は、ECHONET Lite認証は1,066件、ECHONET Lite AIF認証は1,051件(コントローラ558件、機器493件)となった。
これらの活動により、2024年度までのECHONET Lite認証済み製品の出荷台数は累計1億5,749万台になった。
エコーネットコンソーシアムの今年度の活動としては前年度に引き続き、カーボンニュートラルやデジタル化社会の実現に向けて、2023年度末までに需要家サイドに1億4,986万台を超える規模まで普及が進んだECHONET Lite対応機器について、更なる充実・拡張を目指していくこと、さらに、ECHONET Lite対応機器を活用したクラウドサービスの実現にむけて、DRready (Demand Response ready) 対応や認証制度の構築など、普及に向けた新ロードマップおよびECHONET 2.0戦略指針に沿った形で、関連団体とも幅広く連携して進めていくことを大きな柱とする。
ECHONET Lite対象機器の拡大とシステム全体の信頼性担保方法の検討として、さまざまな他団体や異種サービスとの連携など、多面的な方向性を持つ対象機器拡大の取組み拡張や、セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR: Labeling Scheme based on Japan Cyber-Security Technical Assessment Requirements)への対応など、セキュリティも含めたシステム全体の信頼性担保方法の検討について取組む。JC-STARについては、電子情報技術産業協会(JEITA: Japan Electronics and Information Technology industries Association)などと連携し、スマートホーム分野★2レベルの制度検討に参画するとともに、★2レベルの要件を満たす「ECHONET Lite Device Authentication仕様書」と「仕様適合性認証試験仕様書」を策定する。また認証制度などの整備に向けた検討を行う。
ECHONET 2.0のサービス事例増加に向けたユースケース検討として、デジタル田園都市国家構想に向けたサービス事例の検討に加えて、エネルギー関連やスマートホームなど多様なWeb空間上のサービスについて、ユースケースごとの事例検討を引き続き行う。特に、低圧リソースのVPP (Virtual Power Plant) / 分散電源制御への活用についてのユースケース検討では、DRreadyを題材に、ECHONET Lite Web API認証制度の基礎検討を引き続き行う。
ECHONET 2.0の普及施策と政策に基づく事業への展開のための制度検討として、資源エネルギー庁が進める家庭内の機器のDRready化の検討に対してECHONET Lite Web APIの提言活動を引き続き行うと共に、更なる相互運用性の向上に向けた取組みについても検討を行う。
日本電機工業会(JEMA: The Japan Electrical Manufacturers’ Association)、CHAdeMO協議会、住宅生産団体連合会(住団連)などの関連団体及び会員との連携を通じ、国内外普及活動、ECHONET Lite 規格およびAIF(アプリケーション通信インタフェース)仕様の新規策定と改訂作業などについて、市場からの要望を聞きながら改善に取り組み、今後のIoT対応のための技術検討も継続して実施していく。
また、普及活動としては、これらの活動内容をCEATECやENEXなどの各種展示会やイベントなどに展開するとともに、ホームページやダイレクトメールなどを活用し、広く認知いただくよう活動する。特に、幅広い課題の解決のためのデジタル化やカーボンニュートラル実現に向けて、制度設計を進めている関係省庁や学識経験者にも積極的に提案やアピールを行う。さらにはECHONET Lite規格などを、関係省庁や執行団体と共同でアピールし、国の政策の普及促進と連携した対応を進める。そして、エコーネットコンソーシアムの成果が、関連する制度に織り込まれることを通じて、社会課題解決に貢献することを目指す。特に2025年から導入が始まる第2世代スマートメータについては、Bルートの活用を進めるため、例えば対応するスマートフォンアプリなどの「ECHONET Lite対応ソフトウェア製品やAIF対応ソフトウェア製品」を普及させるなど、新たな訴求軸を含めた啓発活動を強化する。その活動においては、ECHONET 2.0関連のサービス普及に向けて、エコーネットコンソーシアム会員、非会員のサービス事業者や他団体メンバーとの意見交換の場としてワークショップなどを開催し、個々のサービス実現における共通的な課題の共有と、標準規格で対応すべき解決策を模索する。
これらの活動を通して、エコーネットコンソーシアムは、ECHONET LiteおよびECHONET Lite Web APIの普及とホームネットワークおよびIoT市場の拡大に向けた政府や国内外業界団体、および会員企業からの協力要請に応じると共に、活動を実行する永続的な運営基盤を構築するために、組織と運営体制を継続的に見直しながら、効率的な運営を進めていく。